大きな開口部からたっぶりの採光。
豪雪地帯の冬も明るく募らす、4世代同居のオール電化の住まい。


キッチンからリビング、仏間を見る。戸を開け放して広々と使う。
東側はすべて掃き出し窓。
DATA
岩手県西和賀町
●竣工  2006年10月
●工法  新在来軸組工法(重鎮断熱)
●延床面珠  194.31m2(約58.66坪)
   1階118.13m2、2階76.18m2
●断熱仕様
  屋根/高性能グラスウール200mm
  壁/高性能グラスウール100mm
  基礎/押出法ポリスチレンフォームV種50mm
  窓/樹脂サッシ(Loe-E複層ガラス)
●相当隙間面棟  0.29cm2/m2
●熱損失係数  1.53W/m2K
 

戸外の雪と寒さも忘れる明るい室内と輻射熱暖房

 冬期間の積雪量が2メートルを超える西和賀町は、国の特別豪雪地帯にも指定される「雪の町」。11月から4月の終わりまで、1年のおよそ半分を雪と共に暮らす。
 この冬は暖冬傾向とはいえ、1月半ばの西和賀町は、すでに一面の雪景色。1階の窓に板を打ち付けて雪囲いをしている家々も多い。
 そんな厳しい自然環境も、O邸にいるとほとんど気にならない。玄関から一歩家の中に入れば、ふんわりとした暖かさに包まれ、戸外の寒さも瞬時に忘れてしまう。ベタ基礎にスラブヒーターが敷設され、2階の居室にだけ蓄熱式電気暖房器が置かれている。出入り口はほとんどが引き戸。段差はなく、普段はどこも開け放しにしているため、空間は明るく開放的だ。
 3歳から87歳までが暮らす、4世代5人家族。「こちらが出す希望に、ユートピアみちのくさんはすべて応えてくれました。おかげさまで思い通りのわが家になりました」と奥様。1階は東に面して87歳のお母様の寝室、キッチン、リビング、畳敷きの仏間が並んでいる。どの部屋にも日射をたっぷりと採り入れ、掃き出し窓をつけた。レースカーテンやシースルーのプリーツスクリーン越しに、やわらかな自然光が射し込み、真っ白な雪の反射が、室内をさらに明るくしているようだ。
 

子どもからお年寄りまで安心して暮らせる設計

 87歳になるお母様の寝室の隣が、ご夫婦の寝室。引き戸で仕切っているだけなので、夜中にお世話をすることがあっても安心だ。
 キッチンと浴室、ユーティリティの家事動線も短く、スムース。1階のトイレは車いすでも楽に出入りできる戸幅と奥行きを確保した。
 2階は娘さん家族のスペース。階段を上がると15帖ほどのホール。3歳の娘さんの遊び場であり、パソコンコーナーでもある。天井には電動式の物干しユニットを設置。1階天井に防音用の断熱材を入れており、娘さんが走り回っても階下にはそれほど響かない。
 ホールの東側は14帖の寝室。入口が2カ所あり、中央のスクリーンを下げれば2部屋として使える。南側の洋間は約8帖のロフト付き。
 どの部屋も実際以上に広くすっきり見えるのは、据え置きの家具が少ないせいだろう。用途に合わせて内側を独自に仕切ったクローゼットに、寝具も衣類もひとまとめに収納する、そんな整理の仕方も奏功している。
 普段から来客が多く、お盆ともなると親戚が20人ほど滞在する。どこに居ても寒すぎず暑すぎない。そんな室内気候だからこそ、客間に限らず、どの場所でも布団を敷いて寝ることができる。
 長く厳しい冬を思い煩うことなく、ゆったりとした気分で4世代で春を待てる家である。



掃き出し窓が並ぶ東面には太陽高度を考慮して庇を設けた。柱は鉄骨。 日射を確保しながら雪囲いの役目も果たす。
 
 
 

東南に掃き出し窓がある仏間。
和室にも馴染むプリーツスクリーンは、シースルーと不透明のツインタイプ。
 
 
 

2階の寝室。
中央のスクリーンを下げて2部屋に仕切ることもできる。

上下階で濃淡を変えたグレーの外壁はガルバリウム鋼板。一番上の窓は2階のロフトのもの。 雪下ろしをしなくて済むよう片流れの屋根にしている。

2階南側の洋間。
ロフトも8帖分の広さがある。

ご夫婦の寝室から、日当たりのいいお母様の寝室を見る。
左の壁一面がクローゼットになっている。

2階ホール。
寝室の戸を開けると階段を中心にぐるりと回れる。
階段手すりの壁部分を棚にし、絵本やおもちゃを収納。

 


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